建物が倒壊することはほとんどないのに地震のたびに必ずと言って良いほど、多数の死傷者が出ます。それはなぜか。 (さすがにマグニチュード7.3を記録した阪神大震災では、鉄筋コンクリート造、木造を問わず多くの建物が倒壊しました。)
建物の中が無防備だから…です。逆に言えば、建物の中で怪我をしないように気を付ければ無事に災害を乗り越えられる可能性は随分とあがります。
神戸に住んでいた知り合いのお母様に関するこんな実話があります。
1995年以前から息子さんである私の知り合いはこまめにお母様を訪れいつやってくるか分からない災害に備えて対策を打っておりました。具体的にはつっかえ棒やネジとめのL字金具等でタンスなどの大型の家具を固定したのです。倒れそうなものはすべて固定したそうです。 (まったくもって親孝行な息子さんです。)
そして示し合わせたかのように阪神大震災が到来してしまいました。幸いにしてお母様の家(木造戸建て)は震源から若干離れていたため建物には致命傷的な被害はありませんでした。そして何と何と、お母様は無傷でこの災難を切り抜けられたのです。当時70代のお母様は今日も名古屋市内のマンションで息子さんと御達者で暮らしておられるとのことです。
震度6くらいでテレビなどの重い家具が飛びます。食器棚、タンス、冷蔵庫、電子レンジなどなどが倒れます。窓サッシの枠がきしめばガラスも割れるかも知れません。すべてをよけることはきっと不可能でしょう。そしてすべては一瞬のうちに起きるため、自分でも何が起きたかを把握するのは事後のことです。
だから家具を固定する。実は単純なようですが、これが一番経済的で効果的な防災対策なのです。
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